外壁塗装にメーカー保証がない業者が多いのはなぜ?
建物の外回りの塗装を検討するさいに、どのような基準で業者を選び、どのような塗料を使用してもらうのがいいのかなど、いろいろな不安を感じる人も少なくありません。外装リフォームの中でも張り替えリフォームでは製品によって保証がついているものがありますが、塗装に関しては保証がついていないのが多いのはなぜなのか解説します。
メーカー保証と施工保証は別モノ?保証の違いについて
外装リフォームには、塗装リフォームや張り替えリフォーム、重ね張りリフォームなどがあり、保証がついていることがあります。保証といっても大きく分けてメーカー保証と施工保証のふたつがありますが、それぞれどのような特徴があるのか説明します。
製品に対する保証
製品に対して独自に定めているメーカーの保証のことで、品質や運搬時の問題、正しい使用方法で不具合がおきた場合などに対応してくれます。
不良品などで施工した場合には塗膜剥離などを引き起こすことがあるため、施工自体に問題がなければ不良品の塗料ということでメーカー保証が受けられます。そのため不良品であると判断できれば、メーカーに連絡することで速やかに対応してくれるのです。
施工に対する保証
業者が塗装工事をすることに対しての保証で、業者独自に行うものや加入している団体や組合が行う第三者機関のものなどがあります。
塗装した部分の状態や使用した塗料によって保証期間が定められ、どの部分でどういう状態の場合に対象になるのかなどの内容については、業者ごとにいろいろと異なるので、事前にチェックしておきましょう。
外壁塗装に施工保証がほとんどない理由
外壁リフォームのなかでも仕様書や説明書をもとに施工する外壁材や屋根材など、保証が行われているものもありますが、外壁塗装などに関しては、メーカーによる保証がほとんど行われておりません。それにはいくつか理由があります。
全国には約5万件の外壁塗装を手掛ける業者がいますが、すべての業者がメーカー推奨の方法で施工しているとは限りません。メーカーの耐用年数の半分にも及ばない期間で塗膜に不具合が起きている状況が現状あることからも、正しい方法で行われていないことが多いのが分かります。
多くの塗料メーカーは、マンションやビルなど大規模に行われる塗装工事に関しては保証することがあるものの、戸建住宅の場合はほとんどケースで保証が行われていませんが、それは大規模な工事であればメーカー側が調査することがあるので保証する場合があるのです。
しかし、戸建て住宅の場合は作業や施工の品質管理が難しいため保証が行われていないことが多いといえます。
もうひとつの理由としては、塗料はほかの建材と異なり、出荷時に完成されているわけではなく、塗料が塗られて乾燥して、外壁や屋根の防水性が確認されてはじめて完成という形になります。塗装を施す職人の技量により、品質は大きく左右されますが、メーカーが把握できるものではないため、保証をつけるのが難しいのです。
保証の有無も含めて信頼できる業者を選ぶことが大切
外壁など塗装する工程としては複数あり、汚れを落とす高圧洗浄、塗料前の下地調整、仕上げ用塗料の密着性を高める下塗り、仕上げのための中塗り、上塗りなどが存在します。これらの工程のひとつひとつをしっかりと行わなければ、想定された仕上がりや耐用年数が実現することはありません。
また、現場で管理しなければいけないことも数多くあります。塗装に適さない条件としては、相対湿度が85%以上、温度が5℃未満で、換気が適切でなく結露しているときなど、塗料の乾燥に適切ではない条件下では塗装作業に着手しないようにいわれています。
雨が降る場合や風が強い場合もあるので、天気や気候などの管理をしながら作業を進めていかなければいけません。塗装をするうえでは時間管理も大切なポイントのひとつです。高圧洗浄後の乾燥時間や重ね塗り時の乾燥時間、養生の時間など、しっかりと管理する必要があるでしょう。
さらに、塗料の管理も重要なポイントとなってきます。本来ならば説明書などに記載されている範囲で行わなければいけない希釈も、薄い方が塗りやすくコストも抑えられるという理由で想定以上に薄めてしまっては本来の効果が期待できません。
2液型の塗料では配合率も重要で、塗料と硬化剤の重量をしっかりと確かめて配合しなければいけないところ、目分量で配合してしまう業者もいるため、耐用年数に影響がでてきます。
このように施工時に必要な適切な管理はいくつもあるため、塗料の効果を充分に発揮させるには、品質だけではなく、業者の知識や経験にも左右されてしまうのです。だからこそ、保証があるかどうかだけではなく、評価が高く安心できる業者を選ばなければいけないでしょう。
まとめ
外装リフォームのなかでは、保証がある作業ばかりではなく、塗装工事のように保証がないことが多い作業もあります。それは塗料自体に不具合がなかったとしても、塗装の段階で正しい施工が行われずに、本来の性能が発揮できないことが多いからです。
職人の技量に左右されてしまうのが塗装で、メーカー側も推奨している方法で施工されているのかを調査できないので、保証をつけることが難しいといえます。保証の有無も大事ですが、それよりも信頼できる業者かどうかを見極めて塗装を頼みましょう。